2015年09月24日

豪華な顔合わせが実現!ファルフ・ルジマトフ、岩田守弘とバレエ&日本舞踊「出会い〜信長NOBUNAGA〜」で共演する藤間蘭黄(作・演出・振付・出演)インタビュー

 バレエ界屈指のスターとして長らく君臨する異才ファルフ・ルジマトフ。日本舞踊の名門「代地」藤間の継承者として旺盛に活動し創作作品でも好評を博している藤間蘭黄。世界最高峰の名門ボリショイ・バレエで名うてのソリストとして活躍し、現在はウラン・ウデの国立ブリヤート・オペラ劇場バレエ団の芸術監督を務める岩田守弘。三者三様の実力者が顔を合わせるバレエ&日本舞踊「出会い〜信長NOBUNAGA〜」が2015年10月11日〜12日、東京・国立劇場小劇場にて行われる。作・演出・振付・出演の藤間蘭黄に日本舞踊とバレエの協同作業にかける思いやリハーサルの模様をインタビュー!

 

藤間蘭黄インタビュー

――ファルフ・ルジマトフさん、岩田守弘さんとの共演に至る経緯を教えてください。

ルジマトフさんが5年前、私が国立劇場小劇場で踊った舞台をご覧になって「ここで一緒に踊りたい!」と。丁度その頃上演された『阿修羅』という作品で、ルジマトフさんが髪の毛をきゅっと結んで踊る姿を観て織田信長のイメージを持ちました。信長は日本の歴史上、空前絶後の突飛な統治者で異端児です。ルジマトフさんのカリスマ性に通じると思います。 私は一人で何役も演じ分けられる日本舞踊の特性を生かし斎藤道三、明智光秀という信長を取り巻く二人を演じます。岩田さんは『阿修羅』の振付者であり、個人的にも親しくしていたので、共同振付と秀吉役での出演をお願いしました。秀吉は農民からのし上がり統治者になる戦国時代の象徴的人物。岩田さんも日本人でありながらボリショイ・バレエで第一ソリストにまでなって今は芸術監督という統治者ですよね(笑)。秀吉の人生と重なります。

――どのように創作を進めましたか?

本能寺で光秀役の私が花道から矢を射ると、舞台中央にいるルジマトフさんの信長の周りが炎上し、信長が『敦盛』を舞う場面が面白いと思って始めました(笑)。が、創作を進めるうちに、それぞれの役の特徴が明確になってきました。源氏・平家以来の武士階級の流れを受け継ぐ道三と光秀、戦国という時代を象徴する秀吉、その真ん中にドンと居る、カリスマ性を持つ統治者・信長。

音楽はオリジナルの邦楽曲です。三味線を使うと日本舞踊寄りになってしまうし、信長の時代に三味線は日本に入っていなかったので、四拍子(しびょうし=小鼓・大鼓・太鼓・笛)と琴で作曲してもらいました。衣裳にも各々の特徴を反映させました。特に信長の衣裳(デザイン・製作=FACETASM)は見たことのないものにしようと何種類か創りました。

――7月下旬、サンクトペテルブルグのミハイロフスキー劇場で行われたルジマトフさん、岩田さんとのリハーサルはいかがでしたか?

非常にスムーズでした。ルジマトフさんは岩田さんがロシア語でコンセプトを話しながら振り付けると、邦楽でカウントが取りにくいのに3回も繰り返せば覚えてしまう。開始1時間前に来られバーレッスンをして12時から16時までびっしり稽古する。とても真摯に踊りと向き合い、真面目なのですが、時には楽しい一面も見せてくれました。隣の稽古場から『白鳥の湖』の音楽が聞こえてくると王子の踊りを始めたりする(笑)。一方、岩田さんはやはり日本人なんですよ。礼儀正しいですし私が少し喋るだけで120%理解して微妙なニュアンスをたちどころに解ってくれる。実際に三人で顔を突き合わせてリハーサルをすると、呼吸の整え方や足の運び方が全く違うのに、ピタリと合う。コラボレーションの醍醐味を感じました。

――日本舞踊とバレエのコラボレーションによって何が生まれそうですか?

それぞれが得意技を持ち基本をわきまえたうえで一緒にやる面白さがあります。日本舞踊独自の技法がどこまでバレエに通じるのか。逆にバレエの技法が日本舞踊にどこまで通じるのか。それぞれが、それぞれの言葉を持ち寄って真剣勝負することによって何か新しいものが生まれてきている。その面白さが全面的に出てきているのをご覧いただきたい。ルジマトフさんの新たな魅力も出ています。惚れ惚れするくらいかっこいいですね。

――公演への意気込みをお願いします。

「信長」のことを日本人なら大抵は知っているので、十人十通りのイメージがあると思います。その十通りの中から共通項を抽出した「これが信長」というエッセンスを振りかける。日本舞踊の素踊りに近い感じです。素踊りで女形を演じると皆様は容姿を想像してご覧になる。皆様の頭の中にある「信長」をルジマトフさんに重ねあわせて観ていただきたいです。 そして、描かれている「日本」を感じていただきたい。ルジマトフさんのファンの方やバレエ・ファンの皆様にも「日本の、舞台芸術としての踊り(=日本舞踊)」の存在を知っていただきたい。

今回は他にルジマトフさんがニコライ・アンドローソフ振付の『ボレロ』を、岩田さんも作品未定ですがソロを踊ります。私は江戸っ子気質あふれる古典の歌舞伎舞踊『山帰り』を踊ります。新しい作品との「出会い」でありながら今までにあるジャンルとのもう1回の「出会い」にもなればと願っています。

[文/高橋森彦(舞踊評論家)]
[写真/平田貴章]

公演概要

■ルジマトフ 藤間蘭黄 岩田守弘
 日本舞踊&バレエ「出会い〜信長NOBUNAGA〜」

<公演日・会場>
2015/10/11(日)18:00開演
2015/10/12(月・祝)14:00開演
2015/10/12(月・祝)19:00開演
会場:国立劇場 小劇場 (東京都・半蔵門)
出演: ファルフ・ルジマトフ(元マリインスキーバレエ/プリンシパル、ミハイロフスキー劇場バレエ<旧レニングラード国立バレエ>芸術監督
藤間蘭黄(日本舞踊家/藤間流)
岩田守弘(元ボリショイ・バレエソリスト、ロシア国立バレエ団/芸術監督)

曲目・演目:出会い〜信長NOBUNAGA〜
 作・演出:藤間蘭黄 振付:藤間蘭黄、岩田守弘
ルジマトフソロ作品
岩田守弘ソロ作品
藤間蘭黄古典作品

2015-09-24 17:45 この記事だけ表示