2015年06月15日

世界のバレエ界の最高峰を極めたスーパースターが共演「吉田都×堀内元 Ballet for the Future」公演発表トークイベントをレポート!

 世界最高峰の名門カンパニーで、それぞれ日本人として初めてプリンシパル(最高位)となった吉田都と堀内元。2015年夏、二人が共演する「吉田都×堀内元 Ballet for the Future」が東京(8月27日)、金沢(8月25日)で開催される。6月6日、チャコット株式会社が2014年秋にオープンした日本初のバレエ複合商業施設「ダンスキューブ勝どき」で吉田(特別ゲスト)と堀内(芸術監督・出演)が出席し公演発表トークイベントが行われた!

 

公演発表トークイベントレポート

 堀内元は1980年にローザンヌ国際バレエコンクールでスカラシップ賞を獲得後渡米し、20世紀を代表する振付家ジョージ・バランシンに認められる。ニューヨーク・シティ・バレエにおいてアジア人初のプリンシパルに昇進し活躍してきた。2000年からはセントルイス・バレエの芸術監督を務める。今回の公演実現の経緯をこう話す。 「ここ5年間、兵庫県立芸術文化センターで「堀内元バレエUSA」をやってきて、自分やゲストの振付家がセントルイスで創った作品を日本のダンサーに踊っていただきました。一昨年から都さんにも参加いただいています。都さんという世界一流の方と共演して(ダンサーたちに)成長してもらいたいし、それを一人でも多くのお客様に観ていただきたいという気持ちから企画しました」

 吉田都は1983年のローザンヌ国際バレエコンクールでローザンヌ賞を獲得した後、英国に学んだ。サドラーズウェルズ・ロイヤル・バレエ団(現バーミンガム・ロイヤル・バレエ団)を経て英国ロイヤル・バレエ団に移籍。英国や日本の観客から絶大な支持を集めてきた当代随一のプリマだ。堀内作品との出会いと今回の公演への思いを語った。
 「ここ何年かは今の自分の年齢でチャレンジできる作品を選んでいます。兵庫で元さんの作品を踊らせていただいたとき、私自身が解放され楽しく踊れました。お客様にも楽しんでいただけて勇気をもらいましたし、もう少し舞台で踊っていけたらいいな、という気持ちに変わった舞台でした。今回東京・金沢で共演させていただけるのを嬉しく思います」

 二人が共演するのは2013年にセントルイス・バレエで初演され「堀内元バレエUSA V」でも上演された堀内振付の『La Vie』(音楽:クロード・ボリング)。洒落た味わいのダンスが好評を博している。他にバランシン振付『Valse Fantaisie』、クリストファー・ダンボア振付『Pandora’s Box』、堀内の『Attitude』をオーディションメンバー含む気鋭のダンサーが披露。さらにはヒューストン・バレエプリンシパルの加治屋百合子&ジャレッド・マシューズも登場し今年堀内がセントルイスで新制作した『ドン・キホーテ』の第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥを踊る。アントレ(入場の踊り)は堀内の振付だ。

 若いダンサーとの共同作業となるが堀内の目に日本のバレエ界はどう映るのか。
 「ダンサーも飛躍的に伸びているし(上演される)作品にも幅が出てきた。ただダンサーの意識が問題。僕はアメリカに行って35年になりますが「居るな!」と言われるまで居たい。今の子たちは海外のバレエ団に入っても2、3年で帰ってしまう…」
 オーディションで採用するダンサーの基準は?との質疑にはこう答えた。
 「適応性。どうやって対応できるか。自分の持っているスタイルを崩せる人、その場で求められていることを素直に受け入れてくれる人を求めています」
 吉田もバレエを学ぶ若い人を教える機会がある。その際に心がけることとは?
 「バレエには近道がなく基本を積み重ねるしかないです、といつも伝えます」

 質疑も最後になった折り、堀内が吉田のリハーサルに挑む姿勢を話した。「ここ数年一緒に踊っていますが人の3倍くらい練習します」
 吉田は照れくさそうに答える。「ドンくさいだけですけれども(笑)」
 チラシのコピーは「吉田都・堀内元が、バレエファン・バレエを学ぶすべての方へ、“次代へのメッセージ”をお贈りします」。若く優秀なダンサーの「紹介」にとどまらず彼らへの「継承」を打ち出している点が特徴だ。吉田と堀内が人一倍誠実にバレエに取り組む姿から大いに学ぶに違いない。メッセージは観客にも届く。堀内は欧米でのバレエ団運営に際し大切なことの1つとして「コミュニティ作り」を挙げた。このトークイベントも観客との距離を縮める触れ合いの場となったのは間違いない。良い舞台は演者の好演とステージを見守る客席の温かな目が掛け合わさって生まれる。この夏そんな至福の体験に参加できる好機となりそう。吉田と堀内の熱い思いをしっかりと受け止めたい。

[文/高橋森彦(舞踊評論家)]

公演概要

吉田都×堀内元 Ballet for the Future

<公演日・会場>
2015/8/25(火) 本多の森ホール (石川県)
2015/8/27(木) ゆうぽうとホール (東京都)

<スタッフ・キャスト>
特別ゲスト:吉田都(元英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル)
芸術監督・出演:堀内元(セントルイス・バレエ芸術監督、元ニューヨーク・シティ・バレエプリンシパル)
ゲスト:加治屋百合子(ヒューストン・バレエプリンシパル)、ジャレッド・マシューズ(ヒューストン・バレエファーストソリスト)
出演:飯島望未(ヒューストン・バレエソリスト)、森ティファニー(セントルイス・バレエ)、岡田兼宜、上村崇人(セントルイス・バレエ)、末原雅広、他、国内外で活躍する気鋭のダンサー(50音順)

2015-06-15 17:53 この記事だけ表示