2015年02月02日

ウラジーミル・マラーホフ プレスミーティング&特別講座レポート!

 東京バレエ団のアーティスティック・アドバイザーに就任した“バレエ界の貴公子”ウラジーミル・マラーホフが昨秋から日本に滞在中だ。2月7日、8日に自身が演出・出演する『眠れる森の美女』、3月12日〜15日に上演される『ジゼル』の指導に当たっている。1月21日にはDVD&CD「マラーホフのレッスン」シリーズ完結となるCDをリリース。このほど、それらを記念したプレスミーティング&特別レッスンイベントが昨年11月にオープンした複合商業施設「ダンスキューブ勝どき」にて行われた!

プレスミーティング&特別講座レポート

 会場の「ダンスキューブ勝どき」には、バレエ・ダンスショップ「チャコット勝どき店」や「チャコット・ダンスキューブ勝どきスタジオ」、“おいしく食べて、しっかり身体をつくる”がコンセプトの「ダンスキューブ・カフェ」が入る。プレスミーティングは施設3階のカフェで行われた。洒落た造りで開放的な空間ということもあり、マラーホフはラフな雰囲気で司会者や記者の質問に気さくに答えた。

 最初に昨年6月、長年芸術監督を務めたベルリン国立バレエ団を離れたことに関して語った。「10年以上ベルリンにいました。次のステップに進む時だと思いましたし、次世代にポストを譲るべきだとも思いました。さよなら公演では、すごくハッピーな気持ちと悲しい気持ちが混じりあって複雑でした」。

 ダンサーと両立しながらの芸術監督としての仕事を、こう振り返る。「新しい振付家を呼んだり、レパートリーを増やしたり、カンパニーのレベルを引き上げる――最初は財政的なこともケアしなくてはいけなくて難しい局面もあったのですが、芸術的なことに集中できるようになり、芸術監督としてもダンサーとしても仕事の幅が広がったと思います」。

 アーティスティック・アドバイザーに就いた東京バレエ団とのコラボレーションは順調の様子。「東京バレエ団と仕事をするようになって20年になります。これまでゲストとして踊っていましたが、今はメンバーに加えていただいて顔を直接見ながら一緒に仕事ができるのは素晴らしいと思っています。新しい才能をたくさん発見しました。その一部を『眠れる森の美女』の公演で見ていただけると思います」。

『眠れる森の美女』では悪役カラボスを踊る。「王子様の役ばかりやってきましたので、ついに僕の嫌な面を見せられる!とワクワクしています。王子様はいつもエレガントで良い性格をしているので、嫌な奴になれるというのが今は楽しいです!というのはジョークです(笑)。自分は自己中心的でもないし、怒るような性格でもない。こういった黒い役を演じるのは挑戦です」。3月に上演される『ジゼル』の主役アルブレヒトを得意としてきた。「一番好きな演目の一つです。新しいダンサーと新しい気持ちで指導していきたい」。

「マラーホフのバレエ・レッスン」シリーズはDVD、CD計7アイテムが日本コロムビアより発売中だ。制作に際しての思いとは。「ダンサーに教えることは子供を育てることと同じだと思っています。生まれたばかりの赤ちゃんは、お肉やニンジンをそのまま与えても食べられません。すり潰したりして食べやすくしてあげなければいけません。ダンサーも同じで、食材をピュレにして口の中に入れてあげる。一つひとつ丁寧に教えています。そういう気持ちからDVDやCDを作りたいと思っていました」。

「マラーホフのマスタークラス」には、バレエ団で行うレッスンがフルに収録され、「マラーホフのヴァリエーション・レッスン」では、コンクールや発表会で取り上げられる演目を細かく指導する。レッスンCDに関して、こう話す。「ダンサーの踊り心を引き出すのは音楽。レッスンでも大事にしています。先生だけでなくピアニストも大切です」。自ら選曲し、録音にも立ち会って指示して仕上げたというだけに、こだわりが感じられる。

 ミーティング終了後、2階のバレエフロアでマラーホフによる『バレエ初級』特別講座が公開された。参加者は中年から若いOLを中心とした女性30名近く。バー・レッスンで見本を見せるマラーホフの、ゆっくり両膝を曲げていく動作や腕づかいの美しいこと。「イチ、ニ、サン、シ……」とカウントし「もう一回!」「ちょっと難しくなります」など日本語も織り交ぜ参加者を気遣いながらテンポよく進める。センター・レッスンでも、真っ直ぐ跳びながら脚を前後に交換するジャンプを軽やかに披露して、ため息を誘った。

 マラーホフは「身体が温まり気分良くなってくれたら嬉しい」「音楽も良いインスピレーションを与えてくれたのでは。楽しかった」と語った。充実のクラスに参加者・見学者から拍手が起こる。スターの飾らない一面とバレエへの深い愛を感じたひとときだった。

[取材・文=高橋森彦(舞踊評論家)]

公演概要

東京バレエ団 創立50周年記念シリーズ9 
ウラジーミル・マラーホフ演出・振付
「眠れる森の美女」全3幕プロローグ付き

<公演日・会場>
2015/2/7(土)〜2/8(日) 東京文化会館大ホール (東京都)

<キャスト・スタッフ>
指揮:ワレリー・オブジャニコフ  演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
演出・振付:ウラジーミル・マラーホフ/マリウス・プティパ
音楽:ピョートルI. チャイコフスキー/装置・衣裳:ワレリー・コングロフ

東京バレエ団 創立50周年記念シリーズ10 「ジゼル」<全2幕>

<公演日・会場>
15/3/13(金)〜3/15(日) ゆうぽうとホール (東京都)

<キャスト・スタッフ>
出演:東京バレエ団(ジゼル:渡辺理恵/アルブレヒト:柄本弾/ほか)
指揮:ワレリー・オブジャニコフ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

2015-02-02 11:47 この記事だけ表示