2014年03月12日

5月の公演を前に、ヤン・リーピンと、彼女の姪である15歳のダンサー、ツァイー・チーが出席した制作発表記者会見レポート!

 中国を代表する舞踊家として知られるヤン・リーピン。日本でも、中国少数民族に伝わる歌と踊りを舞台に乗せた「シャングリラ」「クラナゾ」で公演を行ない、話題を呼んだ。孔雀の舞の踊り手として一世を風靡してきた彼女が、その舞踊人生の集大成として送る作品が、2012年に発表された「ヤン・リーピン 孔雀」である。自身が芸術総監督・構成・主演を務め、美術総監督/衣裳デザインには、映画「グリーン・デスティニー」でアカデミー賞最優秀美術デザイン賞を受賞したティム・イップを起用している。

 

制作発表記者会見レポート

 来日公演に向けての制作発表記者会見には、ヤン・リーピンと、彼女の姪である15歳のダンサー、ツァイー・チーが出席。旧暦の大晦日にあたる1月31日、中国国営テレビの特別番組「春節晩会」で“4時間回り続けた少女”として大きな話題を呼んだのが彼女だ。

 「以前日本で上演した二作品は民族舞踊だったが、今回の作品は舞劇。伝えたい物語、生命観、人生観がある。生命、自然、人の愛、生と死、人類すべてが抱えるさまざまな問題が込められており、いろいろな角度から観ることのできる、とても見どころの多い作品」と語り出すヤン・リーピン。春夏秋冬が、人が生まれ、育ち、老い、死ぬ、そんな人生の流れに重ね合わされ、ヤン・リーピン扮する孔雀、その恋人の孔雀の他、欲望の象徴であるカラスや、すべてを傍観する存在である神も登場。そして、ツァイー・チー扮する“時間”が、上演時間の二時間ほどを、舞台上で終始回り続ける。先のテレビ番組で彼女が披露したのもこの“時間”の舞だ。「ツァイー・チーは1歳くらいから親元を離れ、私と一緒に暮らしてきたが、そのときから回るのが得意だった。その特技を開花させる上で、止まることなく回り続ける“時間”の役柄はぴったりだと思った。人間には、肉体の限界を超えられる瞬間がある。潜在能力を発掘し、想像を超える境地にまでもっていくことができるものだけれども、彼女も自分の身体能力を生かすことができるようになったのだと思う」と、姪について語る。「回っていて目が回ったことは一度もありません。回ることが好きだし、もっと挑戦していきたい」とはにかんで話したツァイー・チーが、その場で回転技を披露。コマのようにしなやかに回りつづける、その動きは魅力的だ。

 音楽には、モンゴルの有名女性作曲家サー・ディンディンを起用、ダンサー達による創作楽器の舞台上での生演奏もあり、踊りながら鳥笛を吹いて孔雀の声を出すとのこと。生涯をかけて踊ってきており、「今では私の顔ではなく、指先の動きを見て『あ、ヤン・リーピンだ』とわかる人がいるくらい、象徴的になっている」と語る孔雀の役どころについては、「孔雀とは、私の出身である白(ぺー)族においては、伝説の鳥、鳳凰のような存在で、神々しい鳥として祀り、崇拝するもの。舞台上で卵から生まれ、成長し、恋愛し、老いて死ぬ役どころなので、毎回死んで新しく生まれ変われるよう、新鮮な気持ちで踊ることを心がけており、日々自分の一生をたどっているような感覚もある。表面的に美しいだけでなく、吉祥をもつおめでたい存在であるところが美しいのだと思う」と言う。ヤン・リーピンの舞はいかなる孔雀の美を舞台上に描き出すこととなるのか、注目だ。

[取材・文=藤本真由(舞台評論家)]
[制作発表撮影=宮川舞子]


公演概要

ヤン・リーピン 「孔雀」

<公演日程>
2014/5/23(金)〜6/1(日) Bunkamura オーチャードホール (東京都)
2014/6/7(土)〜6/8(日) 梅田芸術劇場 メインホール (大阪府)

 
2014-03-12 12:45 この記事だけ表示