2014年01月30日

東京バレエ団『ロミオとジュリエット』振付のジョン・ノイマイヤー記者懇親会レポート!

東京バレエ団が創立50周年記念公演の第3弾として上演する、ジョン・ノイマイヤー振付『ロミオとジュリエット』。開幕まであと10日となった1月27日、ノイマイヤーが自らリハーサルの総仕上げをするために来日した。成田国際空港到着から数時間、彼は記者懇親会に現われ、この公演にかける熱い思いを語ってくれた。

記者懇親会レポート

 「この作品は、1971年に私が初めて手がけた全幕作品です。従来のバレエの様式から決別する〈革命〉を起こす意気込みを抱いていました。 当時の私は、フランクフルト・バレエ団の芸術監督に就任して間もない、血気盛んな若手振付家でしたからね(笑)。シュツットガルト・バレエ団員だった時にジョン・クランコ版に主演した経験があり、ロミオ役を自分の分身ように感じていました。私にとって身近な作品だったわけです。自分自身で創作をするにあたり、まず、他の振付家が作った全ての『ロミオとジュリエット』を忘れ去ることを自分に課しました。固定概念に縛られることなく、個々の人物を理解し、この恋物語のエッセンスを探求したかったのです」

 ノイマイヤーは原典の戯曲を丹念に読み込み、シェイクスピアにインスピレーションを与えたとされる、15〜16世紀に著された小説の研究も重ね、先行バージョンとは一線を画するキャラクターを誕生させた。



 「たとえば、ジュリエットは14歳の少女です。バレエ団のヒエラルキーに則して、熟達したスターダンサーを起用し、トゥシューズで踊らせるのが最上の選択だとは限りません。私の演出では、冒頭のジュリエットは裸足で遊び回る子供のように振る舞いますが、ロミオとの出会いを機に愛を知り、見事な踊り手に変身を遂げます。つまり、『ロミオとジュリエット』は若者の物語であり、愛によって生み出されるパワーが物語の根底にあるのです」

 ノイマイヤーは、画一的な群舞をなくす〈革命〉も目論んだ。そのため、彼の『ロミオとジュリエット』の登場人物は、端役に至るまですべて名前がつけられている。

 「舞台の上にいる一人ひとりのキャラクターは個を持った個人で、誰もが必要不可欠な存在です。個人と個人が向き合った時は親しくしているのに、ささいなことから争いが起こると、集団、対、集団の大きな紛争が生じてしまう。私の『ロミオとジュリエット』では、子供同士の喧嘩が発端になって、召使い同志が争い始め、やがて貴族までもがにらみ合い、制御できない怒りに呑み込まれる。でも、彼らは生まれながらにして対立していたわけではない。私達人間は対立することを、後天的に学んでしまうのです。これもまたシェイクスピアが語ろうとしていたテーマだと思います」



戯曲はイタリアの古都ベローナを舞台にしているが、21世紀のいま、東京バレエ団の日本人ダンサーが本作に初めて挑むことに、ノイマイヤーは大きな意義を感じている。

 「今回の公演には、ハンブルク・バレエのエレーヌ・ブシェとティアゴ・ボアディンが参加します。だからといって、私は東京バレエ団のダンサー達に二人を真似て欲しい、とは全く考えていません。個々の出演者には、自らシェイクスピアの戯曲を読み、解釈する自由があります。そのうえで、自分ならではの表現を発見して欲しいのです。国によって、文化によって、私達は異なる方法で感情を吐露します。昨年夏、配役を決めるために東京バレエ団でトライアウトを行ないました。『月に寄せる七つの俳句』(1989年)や『時節の色』(2000年)を創作した時以上に、ダンサーが表現者として成熟し、心を開いて新たな挑戦に取り組む姿に感銘を受けました。彼らがバレエという表現に、そして『ロミオとジュリエット』という作品に何をもたらすのか、ぜひ見届けたい。私自身、舞台の開幕を心待ちにしています」

[取材・文/上野房子(ダンス評論家)]

公演概要

▼東京バレエ団 <東京バレエ団創立50周年記念シリーズ 3>
ジョン・ノイマイヤー振付 「ロミオとジュリエット」 全3幕


<公演日程>
2014/2/6(木)〜2/9(日) 東京文化会館大ホール (東京都)

<キャスト&スタッフ>
<2/6(木)>沖香菜子/柄本弾
<2/7(金)>エレーヌ・ブシェ/ティアゴ・ボアディン
<2/8(土)>沖香菜子/柄本弾
<2/9(日)>岸本夏未/後藤晴雄
指揮:ベンジャミン・ポープ 演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
※初演作品のため今後のリハーサルの状況や、またダンサーの怪我等の理由により変更になる場合がありますのでご了承ください。正式な配役は公演当日発表とさせていただきます。

【1/14発表】
「ロミオとジュリエット」初演の配役に変更が生じました。2月6日と9日にジュリエットを踊る予定だった河谷まりあは、リハーサル中に肋骨を骨折したため出演できなくなりました。そのため河谷に代わって、岸本夏未がジュリエット役を踊ります。
なお振付家のジョン・ノイマイヤーが、現在来日して振付指導に当たっているケヴィン・ヘイゲンと、ダンサーたちのリハーサルの進行状況等から検討した結果、公演初日の2月6日は沖香菜子・柄本弾がロミオとジュリエットを務めることが最善であるとの結論を下しました。以上の変更につき、なにとぞご理解いただきますようお願い申し上げます。

<演目>
「ロミオとジュリエット」 全3幕
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:セルゲイ・プロコフィエフ


2014-01-30 16:53 この記事だけ表示