2013年11月26日

ウラジーミル・マラーホフがバレエ団アーティスティック・アドバイザーに就任!東京バレエ団創立50周年記念プロジェクト発表の記者会見レポート

 1964年に創設され、古典の全幕作品から現代振付家の名作まで、幅広いレパートリーを誇る東京バレエ団。2014年にバレエ団が創立50周年を迎えるにあたり「創立50周年記念プロジェクト」の豪華なラインナップと、バレエ団にゆかりの深いウラジーミル・マラーホフが「アーティスティック・アドバイザー」に就任することが発表され、マラーホフが来日、会見にのぞみました。

モーリス・ベジャールの“忠臣蔵" 「ザ・カブキ」全2幕

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ジョン・ノイマイヤー振付 「ロミオとジュリエット」 全3幕

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記者会見レポート

 まず、2013年12月14日に初日を迎える「ザ・カブキ」全幕からスタートする、創立50周年記念プロジェクトの10ラインナップについて説明がありました。(詳しいラインナップはこちらを参照ください)

 バレエ団の説明によると、50周年の目玉としているのが、『ロミオとジュリエット』全幕(ジョン・ノイマイヤー振付)と、ベートーヴェン『第九交響曲』(モーリス・ベジャール振付)。そして、マラーホフが「アーティスティック・アドバイザー」として東京バレエ団の指導にかかわるのは『くるみ割り人形』(イワーノフ/ワイノーネン振付)、マラーホフ自身の振付版『眠れる森の美女』、『ジゼル』(プティパ/ラヴロフスキー振付)の全幕3本。

 マラーホフは、現職であるベルリン国立バレエ団の芸術監督の任期を今シーズンで終えることから、任期終了直後の2014年8月〜2015年7月の1年間、東京バレエ団の「アーティスティック・アドバイザー」就任が実現。2014年11月から2015年3月までの約5ヶ月間は日本に長期滞在し、公演の指導にあたることとなります。また、2014年8月30、31日に行われる『創立50周年記念祝祭ガラ』では『ペトルーシュカ』を踊ることも発表されました(この祝祭ガラには、バレエ団との共演がもっとも多いシルヴィ・ギエム、マラーホフ、マニュエル・ルグリがゲストダンサーとして参加予定)。

 「アーティステック・アドバイザー」の仕事内容については、担当する『くるみ割り人形』『眠れる森の美女』『ジゼル』についてのリハーサル指導、キャスティングのアドバイス等で、そのほか、東京バレエ団でのクラスレッスン、各作品に関連したレクチャー、公開リハーサル、また外部向けの特別講習会など、時間の許す限り、さまざまな活動を検討しているそうです。

 現在、世代交代の時期を迎えているバレエ団としては、稀代の天才ダンサー、マラーホフをアドバイザーに招くことによって、豊富な経験と情熱を若いダンサーに伝授してもらうことを期待している、とのことでした。

■就任についてマラーホフからの挨拶
「東京バレエ団の50周年の年は、私にとって、バレエ団との関係が始まって20周年にあたります。初めて東京バレエ団と共演したのが1994年の『世界バレエフェスティバル』なのです。この機会をいただいたことを光栄に思い、東京バレエ団の質を高め、新しい才能を発掘していくことにベストを尽くしたいです。そして東京バレエ団が国際的にも注目を集め、多くのお客様に見ていただくために少しでも私の名前が役に立つのなら、うれしいことです。まだどうなるかは分かりませんが、きっとみなさんに喜んでいただけるものができると思います」。

 長期滞在してアドバイザーとなることについては、「何度も来日し、なじみのあるダンサーも多いので、東京バレエ団がどういうバレエ団かという知識はありますし、どういう方向性でいけばいいかというアイデアがわきやすいと思います。バレエ団の伝統やスタイルといったものがありますので、私はそれを変えようとは思いません。ただ、少し色づけができれば。そして、新しい才能の発掘、新しい世代のダンサーたちを育てることにも協力していきたいと思います」とのこと。

 指導にあたる3作品に、マラーホフ自身が出演するかどうかを聞かれると、『眠れる森の美女』のカラボス役には出るつもりでいる考えを話しました。
「でも、王子役はいまの自分に合わないから踊りません。踊って見せることで若い人たちに教えられるものもありますが、役によっては、やめたほうがいいという判断もあります。年を重ねると、踊る演目もクラシックからネオクラシック、コンテンポラリーと自分が心地よく踊れるような演目を選んでいくようになると思います。もちろん、今も私は気持ちの上ではプリンスですが、芸術的に見て、みなさんをがっかりさせるようなことはしたくないのです。“年寄りダンサー”としてのマラーホフではなく、一番美しい王子のイメージをとどめておいていただきたいのです」。

■振付家たちが来日して直接指導
 50周年記念プロジェクトのほかの公演については、目玉の1つである『ロミオとジュリエット』は、振付家のジョン・ノイマイヤーが今年夏に来日して2日間かけてクラスを見学し、ノイマイヤー自身がソリストから小さな役まですべて配役を決めたことが明かされました。そして、バレエ団の財産とも言える『ドン・キホーテ』は、13年前にバレエ団のために振付・演出を行ったウラジーミル・ワシリーエフを招き、あらためて伝統を継承する計画。また初演から50年目にあたる、ベジャール振付の『第九交響曲』は、兄弟カンパニーともいえるモーリス・ベジャールバレエ団との共同制作。ズービン・メータ指揮によるイスラエル・フィルハーモニー管弦楽団、メータが選んだ4人の世界的な歌手、栗友会合唱団という総勢300人にのぼる盛大な祝祭となります。このほか、2次に渡る海外公演は、ギリシャと、初公演のポーランドを含むヨーロッパ5カ国。まさに50周年の祝祭といえる、豪華なラインナップです。
 マラーホフをアドバイザーに迎え、若く新しい才能ががどのように花開いていくのか、東京バレエ団の50周年は見逃せません!

[取材・文=郡司真紀]

プロフィール

ウラジーミル・マラーホフ

 1968年、ウクライナのクリヴォイログに生まれる。4歳からバレエを学び、10歳でボリショイ・バレエ学校に入学し、ピョートル・ペストフに師事する。86年の卒業と同時にモスクワ・クラシック・バレエ団に入団し、最年少のソリストとして活躍。この間、モスクワ劇場専門学院においてエフゲニー・ヴァルーキン教授に師事、3年間のクラシック・バレエ教師専修コースを修了する。
 86年、ヴァルナ国際バレエコンクールでグランプリを獲得したほか、88年モスクワの全ソ・コンクールで第1位とモダンダンス特別賞を受賞。89年のモスクワ国際バレエコンクールで金賞。91年にはイタリア、ヴィニャーレのサマー・フェスティバルで批評家協会賞、同年パリでセルジュ・リファール賞を受賞。ヨーロッパの批評家に「今世紀を代表するダンサー」と評される。
 92年にロシアを離れ、ウィーン国立歌劇場バレエ団のファースト・ソリストとなる。94年にはナショナル・バレエ・オブ・カナダのプリンシパル・ダンサーとしても契約。95年にはアメリカン・バレエ・シアター(ABT)のダンサーとしてニューヨークのメトロポリタン歌劇場に出演。このほか、ウィーン国立歌劇場バレエ団のゲスト・プリンシパルとして各地で活躍する。
 99年、ウィーン国立歌劇場バレエ団のために「ラ・バヤデール」を演出し、振付家としても活動を始めた。2001年3月には、同バレエ団のためにヴェルディの「仮面舞踏会」を振付・演出した。
 02年、ベルリン国立歌劇場バレエ団の芸術監督に就任。同年12月には自身の版による「ラ・バヤデール」を演出および主演。04年3月には自身による新演出「シンデレラ」を上演、自らも“甘いもの好きのバレリーナ”と王子を踊った。
 04年9月、ベルリンにある3つのオペラハウスの統合により新しく生まれたベルリン国立バレエ団の芸術監督に就任。ウヴェ・ショルツの「火の鳥」、ベジャールの「ニーベルングの指環」、マクミランの「マノン」、クランコの「オネーギン」などをバレエ団初演、いずれの作品でも自らも出演するなど、精力的に活動している。05年10月、自身の作品としては第4弾となる「眠れる森の美女」を世界初演。05年6月には芸術監督としてバレエ団を率い、来日公演を行った。10年2月には、ベルリンで新たに振付・演出を手がけた「ラ・ペリ」を世界初演している。11年1月の日本公演では、ボリス・エイフマン「チャイコフスキー」に主演した。
 ロシアで「ブラヴォー・マラーホフ」、ヨーロッパ文化放送網の「ナルシス:マラーホフというダンサー」、CBCによる「トゥルー・プリンス」などの番組が彼のために制作されている。おもなレパートリーには、彼自身が最も好きな作品「ジゼル」をはじめ、「白鳥の湖」、「眠れる森の美女」、「ラ・バヤデール」、「ドン・キホーテ」、「くるみ割り人形」などの古典、カサトキナの「ロミオとジュリエット」「妖精の口づけ」「天地創造」、リファール「白の組曲」、フォーキン「薔薇の精」、バランシン「テーマとヴァリエーション」「アポロ」「バレエ・インペリアル」、クランコ版「ロミオとジュリエット」「オネーギン」、マクミラン「マノン」、ノイマイヤー「椿姫」、ドゥアト「レマンゾ」、ロビンズ「牧神の午後」などがある。
 日本では1996年から2013年まで、8回にわたって自身のプロデュース公演〈マラーホフの贈り物〉を上演、東京バレエ団とは1994年の第7回世界バレエフェスティバル(大阪公演「ジゼル」第2 幕)から20年にわたって数多く共演している。

東京バレエ団
 東京バレエ団は1964年に創設、3年目の1966年には早くも当時のソビエト政府に招かれ、モスクワ、レニングラードで公演を行った。この成功によりソビエト文化省より“チャイコフスキー記念”の名称を贈られた。創立以来一貫して、古典の全幕作品から現代振付家の名作まで幅広いレパートリーを誇っている。なかでも現代バレエ界を代表する三大振付家モーリス・ベジャール、イリ・キリアン、ジョン・ノイマイヤーが新作を振付けており、いずれも国内外で大きな成功を収めている。
 東京バレエ団はこれまでに、日本の舞台芸術史上始まって以来の、25次710回の海外公演を行っており、“日本の生んだ世界のバレエ団”として国内外で高く評価されている。30カ国150都市を巡り、ヨーロッパの名だたる歌劇場に数多く出演し絶賛を博した。07年に『ドナウの娘』日本初演などの舞台成果に対し、第6回朝日舞台芸術賞を受賞した。09年、創立45周年を迎え、9月にマカロワ版『ラ・バヤデール』、10年2月に2作目となるアシュトン作品『シルヴィア』、5月にはクランコ振付『オネーギン』を初演して高い評価を得た。同年、6月〜7月にかけて第24次海外公演を行い、ミラノ・スカラ座での『ザ・カブキ』で海外公演700回を達成、11月には〈奇跡の響演〉でズービン・メータ指揮イスラエル・フィル、モーリス・ベジャール・バレエ団との共演を果たした。12年5月にはパリ・オペラ座ガルニエ宮で26年ぶりに『ザ・カブキ』を上演し、大成功を収めている。14年、創立50周年を迎える。


ラインナップ

2013年12月    モーリス・ベジャール振付「ザ・カブキ」

12月下旬 第26次海外公演[ギリシャ]

2014年2月初旬  ジョン・ノイマイヤー振付「ロミオジュリとエット」

5月〜6月 第27次海外公演[ベルギー、オーストリア、ドイツ、イタリアほか]

8月下旬  東京バレエ団創立50周年記念 祝祭ガラ

9月下旬  「ドン・キホーテ」全幕

11月初旬 モーリス・ベジャール振付 「第九交響曲」
       共演:モーリス・ベジャール・バレエ団
       ズービン・メータ指揮イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団

12月中旬 「くるみ割り人形」全幕

2015年2月初旬  「眠れる森の美女」全幕


3月中旬  「ジゼル」全幕


公演概要

▼東京バレエ団 <東京バレエ団創立50周年記念シリーズ 1>
モーリス・ベジャールの“忠臣蔵" 「ザ・カブキ」全2幕


<公演日程>
2013/12/14(土)・15(日) 東京文化会館大ホール (東京都)


<キャスト&スタッフ>
振付:モーリス・ベジャール
音楽:黛敏郎
出演(予定):
<12/14(土)>
柄本弾/奈良春夏/森川茉央/梅澤紘貴/木村和夫/氷室友/入戸野伊織/沖香菜子
<12/15(日)>
森川茉央/渡辺理恵/永田雄大/松野乃知/原田祥博/岡崎隼也/梅澤紘貴/吉川留衣
<演目>
「ザ・カブキ」全2幕
※音楽は特別録音による音源を使用します。



▼東京バレエ団 <東京バレエ団創立50周年記念シリーズ 2>
ジョン・ノイマイヤー振付 「ロミオとジュリエット」 全3幕


<公演日程>
2014/2/6(木)〜2/9(日) 東京文化会館大ホール (東京都)

<キャスト&スタッフ>
<2/6(木)>沖香菜子/柄本弾
<2/7(金)>エレーヌ・ブシェ/ティアゴ・ボァディン
<2/8(土)>沖香菜子/柄本弾
<2/9(日)>岸本夏未/後藤晴雄
指揮:ベンジャミン・ポープ 演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
※初演作品のため今後のリハーサルの状況や、またダンサーの怪我等の理由により変更になる場合がありますのでご了承ください。正式な配役は公演当日発表とさせていただきます。

【1/14発表】
「ロミオとジュリエット」初演の配役に変更が生じました。2月6日と9日にジュリエットを踊る予定だった河谷まりあは、リハーサル中に肋骨を骨折したため出演できなくなりました。そのため河谷に代わって、岸本夏未がジュリエット役を踊ります。
なお振付家のジョン・ノイマイヤーが、現在来日して振付指導に当たっているケヴィン・ヘイゲンと、ダンサーたちのリハーサルの進行状況等から検討した結果、公演初日の2月6日は沖香菜子・柄本弾がロミオとジュリエットを務めることが最善であるとの結論を下しました。以上の変更につき、なにとぞご理解いただきますようお願い申し上げます。

<演目>
「ロミオとジュリエット」 全3幕
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:セルゲイ・プロコフィエフ


2013-11-26 14:13 この記事だけ表示