2013年05月29日

マシュー・ボーン振付の問題作『ドリアン・グレイ』、日英の美しきダンサー競演も話題の記者会見をレポート!

 男性ダンサーのみによる『白鳥の湖』で世界にその名を轟かせた英国の振付家、マシュー・ボーン。彼がオスカー・ワイルドのゴシック小説『ドリアン・グレイの肖像』を現代に置き換えたダンス作品を発表したのが2008年のこと。「いつまでも美しくいたい」という願望にとりつかれていく美青年ドリアン・グレイの姿を耽美的に、過激に、そしてセクシーに描いたこの衝撃作は大きな話題となった。その『ドリアン・グレイ』の日本公演がこの夏、ようやく実現する! しかもオリジナル版でタイトルロールを演じたリチャード・ウィンザーがUKキャスト版として出演すると同時に、Wキャストとなる日本人キャスト版には大貫勇輔が抜擢された。こうして日本人キャスト、スタッフと共に作品をつくるのはマシュー・ボーンにとっても初めての試みだ。5月某日、リチャード・ウィンザーが緊急来日し、大貫勇輔とともに記者会見に参加した。

会見レポート

絶対的な物語性があり、心の芯に迫ってくるのがマシュー作品の魅力(ウィンザー)

 記者会見の会場となったのは、都内のある劇場。今回は客席後方に選ばれた一般客の方々も参加する形で、記者会見がスタートした。
 まずは司会者から、つい数時間前に届いたというマシュー・ボーンからの手紙が紹介された。「ドリアン・グレイはこれまでに私がつくりあげたどの人物よりも暗い世界の住人で、道を踏み外し冷酷な殺人者となってしまいます。そんな美しきダーク・ヒーローなので、彼は単純明快な人物ではなく強烈な個性を持っています。交錯した情熱や圧倒的なカリスマ性がある、このドリアン・グレイ役を演じるのは絶対に素晴らしいダンサーでなければなりません。この役をつくりあげたリチャード・ウィンザーはこの役に本当の深みを与えた驚くべきパフォーマーです。彼が日本の皆様のためにこの役を再び演じるのが待ちきれません。そして大貫勇輔。非常に特異で素晴らしい才能を持ったダンサーの彼が今回この強烈な役にどのような違いをもたらしてくれるのか、とても楽しみです。こうしてまた日本の皆様と、この素晴らしい作品を分かち合うことができて私は非常に興奮しています」との内容からも、マシュー本人の熱い気持ちがありありと伝わってくる。

そしていよいよふたりのドリアン・グレイが登場!リチャードと大貫の姿が舞台上に現れると客席後方からは黄色い声が!しかし確かに、役が入っていない素の状態の人気ダンサーをこれほど間近で見られる機会はなかなかないかもしれない。

 まずはリチャードが「この作品を東京に持ってこられることになり、私自身もとても興奮しています。この作品は私にとって特別な意味があり、大きな責任も感じています。ハードでセクシャルなイメージも多い作品なので、文化的な違いのある日本のダンサーとオーディエンスがどう受け止めてくれるのか興味深いですが、みなさんに楽しんでいただけるものと思っています」と語り、マシュー・ボーン作品の魅力として「いつも絶対的な物語性があり、それはどんなお客様にも理解できるし心に響くものがあると思う。心の芯に迫ってくるところが含まれているのも、また魅力だと思います」と解説。

 さらに大貫は「僕は初めて観たマシューさんの作品がリチャード主演の『白鳥の湖』でした。その存在感と肉体美にずっとリチャードを目で追ってしまって。魅力的なダンサーだなと思った印象が残っています。今回のオーディションの話を聞いて絶対になにがなんでもやりたいと思い、ひとりでイギリスに行きました。そして、こうしてあこがれの演出家とご一緒できるのは誇りでもありますし、ふだんも誠心誠意やっていますが今回はより精一杯やりたいと思っています」と、現在の心境を率直に語った。

精神的にも身体的にも削っていくつもりで全力で取り組みたい(大貫)

続いて、客席からの質問として以下2つがとりあげられた。
「踊ること以外に夢中になることは?」
リチャードは「スポーツ、ゴルフが好き。映画を観るのも大好きなので今後自分自身でプロデュースすることにも関わっていきたい」 大貫は「最近は歌とお芝居の勉強をすることが楽しい。できないことができていくことに夢中になっています。映画も好きで週に4、5本観ています」と答えた。

「お互いの印象は?」
リチャードは「ロンドンにオーディションで来てくださった時には存在感、理解力、役作りに対する姿勢も素晴らしいし、この役にぴったりだと思った。それも、まだまだもっとよくなると思う」
大貫は「ロンドンで振付をしてもらった時は「うわ、大きいな!」と思って。自分が同じ役をやるには身体が小さいように感じたので、この1年かけて筋トレしてビルドアップしているところです。リチャードは一緒に話していると冗談も言う面白い人で、すごくセクシーでもあって。目がきれいなので、正面から見ているとうっとりしちゃうくらいです(笑)」とお互いを絶賛!

 記者からの質問としては
「ドリアン・グレイを演じるのに難しかった点は?」
リチャードは「オスカー・ワイルドのクラシックな原作小説を現代に持ってきてダンスに変換する点では悩みましたが、特に私たちの大きな挑戦だったのが色っぽさをどう出すかということ。しかも男性同士のラブシーン、それも身体の大きいふたりだと戦っているように見えてしまうので。それをロマンチックに、どんな性別の方からもセクシーに見えるようにするのが挑戦でした」。
大貫は「僕はまだ映像でしか観ていないのですが作品自体は斬新でワイルドでセクシー。マシューさんの作品に一貫しているのはストーリーはあるんだけど言葉を使わずにダンスで物語を表現するということ。それがとても難しそうだと思っています。ドリアン・グレイはどんどん変化するキャラクターなので、それを表情で表現するのか、それとも手や目の動かし方なのか、そして振付でどう表現するのか、と今はまだ考えているところです」などの質疑応答が行われた。

 また、ここでスペシャルゲストとしてタレントで医師の西川史子がステージに登場。最近は女性ばかりの宝塚歌劇団の舞台にハマっているとのことだったが「本物の男性も素敵ですね!」とリチャードと大貫にはさまれてちょっとときめいている様子。しかもふたりから特別な“求愛ダンス”でアピールされ「エロいですね!(笑)キレもすごいし、ダンスの素晴らしさを近くで感じました。ふたりを比べて観るのも楽しいと思います。やはり女性はいつまでもキュンキュンしていないと老化が進みますので(笑)、私もキュンキュンしに2回観に行きます!」と話し、すっかりふたりの魅力にハマってしまったようだ。

 最後には大貫が「リチャードと一緒に稽古で切磋琢磨していい作品にしたいと思っていますが、今回はステージ数が少なくてお互いに本番はたった4回ずつなんですよ!もう自分は精神的にも身体的にも削っていくつもりで全力で取り組みたいと思っています。たくさんの方に観ていただきたいと思うので応援をよろしくお願いします!」とアツく宣言して締めくくった。

 それぞれの個性が光るふたりのドリアン・グレイがどんな表現でマシュー・ボーンの世界を構築していくのか、興味は尽きない。どちらかを選ぶのに迷ったら、貴重な機会でもあるのでここはぜひ両方のバージョンを観比べてみてほしい。


[取材・文/田中里津子]
[撮影/渡辺マコト]

 

公演概要

マシュー・ボーンの『ドリアン・グレイ』

<公演日程>
2013/7/11(木)〜7/15(月・祝) Bunkamura オーチャードホール(東京都)

<キャスト&スタッフ>
原作:オスカー・ワイルド「ドリアン・グレイの肖像」
翻案・演出・振付:マシュー・ボーン 音楽:テリー・デイヴィス
出演:大貫勇輔(JP)・リチャード・ウィンザー(UK)<Wキャスト>/ジョナサン・オリヴィエ(UK)<Wキャスト>※JPキャスト後日発表/皆川まゆむ/大野幸人/丘山晴己(JP)・アダム・マスケル(UK)<Wキャスト>/森川次朗/鈴木陽平/木原浩太/原田みのる/矢島みなみ/谷古宇千尋/安村圭太/鎌田真梨
※JP=12日19:00、13日13:00、14日18:00、15日
※UK=11日、12日14:00、13日18:00、14日13:00
※ダブルキャストの3役以外はすべて日本人キャストの出演となります
※配役は変更になる可能性があります



2013-05-29 15:03 この記事だけ表示